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十七夜
「淡い月の色」
「明るすぎず暗すぎず、足元を照らしてくれる色」
少しキザな言い方をしたのかもしれない。
長年、連れ添っているとなんとなくだけれども
「人の色」が見えてくる。
青や赤、黄色に緑。
茜色なんて「イイな」なんて思ってた。
けれども知的で明朗、しかし冷静さを持ち誰かの心情を読み取る力は
ずば抜けて高いと私はいつも感じていた。
だから何のために時間を置いたかというとお月さんの色は何だろう…
と思ったからである。
答えを聞いた彼女の方も一瞬、間を置いた。
少し戸惑うような嬉しいような表情を一瞬だけ見せた。
口元が緩んだのがわかったのだけれども
遠くを見つめるその先は何を想っていたのかは今でも謎のまま。
自分がイメージしていた色と私がイメージしていた色が違ってたのだろうか?
微妙な時間が二人を支配する。
不安とも間違いとも言えないようななんとも言えないような時間。
2秒、3秒…
時間が長く思えた。
「あぁ、そうかぁ…」
そんな風に見えるのかというような表情をし
少し嬉しそうな笑顔でフロントガラスの向こうを見ていた。
今でもあの時の事は覚えている。
元気にしているだろうか。強い人だから気にするまでもないんだけれど。
月が満ち始めると思い出す懐かしい夜。十七夜。