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ひかりのガーデン

ひかりの家族のWeb Magazine

輝星

20130413_saturn_and_spica.JPG

 まぁ、いいから聞いてくれ、たいした話じゃない。
 まずは写真をみて欲しい。
 同じくらいの明るさに見えるだろ?

 だからどうしたって?
 何が違うかって?
 そりゃ、色とかその他いろいろあるが
 そんなこたぁどうでもいい。

天文学的に言うとアレヤコレヤと言われるので書かないが…
そもそも土星なんて惑星だし、スピカは恒星だし
太陽の約6倍の大きさとも言われている。
そもそも比べるのはおかしいと分かってて書いている。
だからそのへんは目をつむっててくれ。頼む。

あくまでも光度の話だ。光り方だよ、光り方。
つまりは輝き具合の話だ。

オレンジに輝く星は 土星だ。光度1.2等級
青白く輝く星は おとめ座のスピカ。光度1.04等級

明るさの見た目はほとんど変わらないんだ、数値だけの違いだけだ。
肉眼でみても違いがあると言えば色くらいだ。
わずかだがスピカの方が明るい。でもほぼ同じだ。

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小学4年生の時、転校生がやってきた。

当時私は野球をやっていた。
簡単に言えば野球部だ。上手な方だったと思う。
それがだ、同じくらい上手いヤツが入ってきた。
そう…
転校生がそのヤツだ。

どんな感じだ?とチラチラ見てるとやはり上手い。
同じくらいの上手さを持っていたと思う。
ここで妙なライバル心が生まれていたのは、初めて言う本音だ。
上手いか?下手か?なんて良くある話だ。
小学生なんてそんな事を考える年齢だ。

互いの心の中では何かにつけて「ちきしょう、同じくらいのヤツがいる」
と思っていたに違いない(私だけがそう思ってるだけかもしれないが)
実際この歳になってみるとそんな事はどうでもよくなった。
けれどもしこりのようなどこかひっかかるものがある。

結局、同じ学校に進み高校卒業まで「野球部」という
括りの中で一緒に過ごした。

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つい先日、とあるSNSで二十数年ぶりに見た事のある笑顔を見つけた。

─── 相変わらず変わってないな、キャプテン

私の口元はわずかに緩んでたと思う。
なぜだか手元のマウスに手が伸びていた。
友達リクエストのボタンを押していた。迷いはなかった。

彼もリクエストされた事に気付いたらしく
「○○、久しぶり!元気にしてるか?」と地元の方言でメッセージを
返してきてくれた。

懐かしい。すごく懐かしい。
あの日の光景が映し出されるかのように目の前に広がる。

この歳にようやく思えるようになった事がある。
良くやったよ、頑張ったよな、オレ達。
そんな風に思える歳になっている。
というより年を重ねてきてやっとここまできたというのが正しいかもしれない。

面と向かって言えたらいいが、きっとわかんないよな。
ここはオマエには教えない(笑)。だってココはヒミツのカ・ク・レ・ガだからだ。

オレに言わせりゃ、土星とスピカの明るさなんだよ。
そんなに変わりゃしないんだよ、オレ達さ。
あの頃オレ達は輝いてたんだよ。

人がそれぞれ違うように
オレ達も違ってた。土星やスピカのように。
キャプテン、悔しいんだが少しだけ言わせてもらおう。
輝いてたのはオマエだ。
この写真に例えるならスピカだ。
太陽よりも断然に大きく、そして明るく。
こんな事言っても照れたりすんなよな。
言いたかったのはそれだけだ。
じゃぁな今度。
いつになるかわかんないけどさ。

会ってあの頃の話し、しような。


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