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樹齢1500年

樹齢1500年。

明治神宮にはとても大きな木造の鳥居がある。
1920年創建時のものと同じ大きさのものを1975年に建て替えたものなのだそうだ。
そして、使われている木は樹齢1500年の台湾産のひのきだ。

法隆寺や薬師寺の宮大工としてして知られた西岡常一さんの「木に学べ」に書かれていたが、今もう樹齢千年以上のひのきは日本にはないのだそうだ。
法隆寺には樹齢千年以上のひのきを用いなければならないけれど、もはや国産の木で建て替えはできないらしい。

今は御神木すら材木として切られてしまう時代。大きな材木の必要はとてもよくわかる。
でもわたしは思うのだ。
樹齢300年とか400年とかの木は、新しいものを植えたとしても、同じ大きさに成長した木をわたしたちは生涯みることができないのだろうから、「今」だけではなく、「未来」のことも同じだけ考えてみたいと。

大きくなってじゃまだからとか、枝がせり出して危ないからとか、目先の事情だけで切ってしまっていいのかだろうか。
少なくとも、その木が生きてきた時間の長さと同じ分くらいは、未来に対して思いを巡らす余裕をもっていたいと。

木のいのちのスケールは大きすぎて、80年ほどしか生きられないであろうわたしには理解ができない。
木々はわたしが生まれるずっと前からその場所をずっと見守ってきた。
一歩も動かずに、その場所を守り、精一杯生きてきたのだ。

だから、木のそばにいると心からほっとするような気がするのだろう。
これからも地球に大きな木がたくさん残っていてほしいと思う。

明治神宮の森は、できた当時の木の背丈のちょうど倍くらいなんじゃないかと、かれこれ70年以上お詣りにきているというおじさんはいっていた。

今の何倍もの大きさに育った森がどのような姿なのか想像もつかないけれど、あとの時代に生まれた誰かにわたしが感じているやすらぎを手渡せますようにと思うのだ。


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