くらしの中の奇跡
豊かな森のある神社を散歩するようになって、数ヶ月がたちました。
毎日同じ場所を歩いていても、
一日たりとも同じ日はないのだと感じます。
今日は枝の先がすこしまあるくなったと感じたと思ったのは一瞬のことで、
それを記録する前に、新鮮な緑色に変わってゆき、
今はもうすっかりみどり豊かでこんもりして、
冬の細くかわいた木々のシルエットの残像すら思い出せなくなりました。
忙しくしているころ、
動き回って変化しているのは、私たち人間なのだと思っていました。
自然の悠然とした姿に比べて、人の心のうつりかわりはなんてはやいのだろうと。
でも、自然の変化も同じようにはやく、
わたしはそれに気づいていないだけだったのです。
それに気づいたとき、
変わってほしくないという執着からも、
変化できないことに対する焦りも、
はがれ落ちていきました。
それらは、わたしの主観的な思いこみにすぎないとわかったからです。
おそれなくても、あせらなくても、変わらぬはやさですべては流れていきます。
わたしたちができることは、流れにのり、活かすことだけ。
それこそが、生きるということなのかもしれませんね。
今年、生まれて初めて、楓の木に花が咲くことを知りました。
まだまだ、知らない美しいものがたくさんあるような気がします。
天国を求めて世界中を探しまわったわたしの
あたりまえの暮らしのなかに。